岩内町郷土館ブログ

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ひとりごと昭和20年代岩内の漫画家、斉藤正義(正代志)さん

 現在開催中の企画展「安政3年 茅沼炭山発見」の展示では、同年岩内地方を訪れた松浦武四郎の資料も同時に展示しておりますが、資料として当館所蔵の「安政元年の岩内〜雷電」の大きな絵図をお披露目しております。郷土館リニュアル後としては、おそらく初の展示であります。
 長さ約2.1メートルの長い長い絵図に、安政年間の蝦夷地の出来事を年譜で並べ、山々には標高も付し、山道や町には行き交う人々。この時代のイワナイ場所の様子が、生き生きと描かれています。

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(昭和24年作製 安政元年の岩内−雷電 斉藤正義 作)

 作者の斎藤正義さんは、若い頃に東京で、当時子供の間で大人気だった「のらくろ」作者の田河水泡に師事していましたが、戦争で海軍の方へ、中国大陸にわたりました。戦後は無事に帰還し、昭和21年に漫画仲間とともに岩内にて「新世漫画会 岩内集団」を創成。全道に呼びかけて「全道新世紀漫画会」となりました。
 その年、第1回全道新世紀漫画展が、岩内で開催。後志の美術家達に負けず劣らずの勢いでした。仲間には北海朗一、松岡研二、柿本八郎、大場ひろしなど。多くは札幌で活動していました。

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(昭和24年の『岩宇年鑑』に添付されている、岩宇7ヶ町村の手書きの絵地図)

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(岩内町広報に添えられたイラスト)

 札幌の大場ひろしさんは、わかさいもやチャルメラのイラストで有名なイラストレーターです。札幌市資料館には個人美術館の「おおばひろし記念室」もあります。当時大場さんは北海道新聞社にいて、この斎藤さんを入れるように働きかけていたようですが、惜しいことに斎藤さんはそのころ結核に冒されていたのです。
 昭和24年、岩内町開町50周年の時には、前述の絵図とともに、岩宇年鑑、記念スタンプのデザイン、島野小学校の校章デザイン、歴代町長の似顔絵等あらゆるジャンルで斎藤さんは活躍しましたが、昭和26年の春に30歳の若さで亡くなりました。
 もしもお元気でいたならば、大場ひろしさんや、かこさとしさんと並ぶような、偉大なアーティストであっただろうと思います。(r・参考『岩内美術史考察』)

(ちなみにおおばひろしさんは、広報いわないで数年にわたり4コマをのせています〜)
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posted by 岩内町郷土館 at 2018年10月11日15:06 | Comment(2) | TrackBack(0)

この記事へのコメント

チャルメラのイラストは木村しゅうじさんだったと記憶しているのですが、おおば比呂司さんも描かれていたのでしょうか?

Posted by u-n@gi at 2020年12月31日 00:53

コメントありがとうございます!
訂正してお詫び申し上げます。おっしゃる通り、チャルメラは木村しゅうじさんの作品ですね!
おおばさんは、わかさいものパッケージで屋台を引いていたおじさんが描かれているのでそれと誤認してしまいました。
他に、缶詰のやきとりとか、田舎みそのデザインはまさしくおおばさんですね。
今後は同じ間違いのないようにいたします!
ありがとうございました。

Posted by 岩内町郷土館 at 2021年02月15日 00:45

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